最近思いがけず入手した、とても古い小抽斗。
古道具屋の御主人のお話では、文化11年(1814年)製の物とか。 確かに最上部の抽き出しの側面に、墨書でそう書かれていた。 さらに御主人の説明では、江戸時代から明治に掛けては、それを手掛けた 職人や持ち主が記念として、家具の隠れた部位に完成年月日を記すが多かった由。 つまりこの抽斗は多分間違い無く、文化年間の家具の様です。 江戸期の物では、天保から幕末に掛けての古家具は、多くの古道具店に 比較的まだ良く見掛けますけど、化政時代の特に文化年間の物は 今となっては消滅してほとんど出会わない。 興味の無い方はこんな汚い抽斗なんて貰っても要らないよ!って おっしゃると思うのですけど…オイラにとっては宝物の中の宝物です。 1814年って年は、フランスに於いては長いナポレオン戦争の終末期で、 3月末にはパリが陥落し、ナポレオン自身もエルバ島へ追放されている。 さらにマルメゾン宮殿でORの交配育種に熱中していた、 皇后ジョセフィーヌが死去した年でもある。 ヨーロッパのバラの歴史の中では、ガリカローズ全盛の頃です。 翻って日本はと云うと、江戸町人文化の爛熟期。 激動の幕末を50年後にひかえ、弥次さん喜多さんの東海道膝栗毛 を絵に描いた様な、まだ天下太平の時代。 我が信州では小林一茶が活躍していた頃です。 そんな遠い昔に想いを馳せながら、毎日暇さえあればこの小抽斗を 眺めています。 手前味噌ながら(笑)、歴史あるものは歴史あるものにしか無い、 決して飽きの来ない美しさがあり、それらに囲まれていると 無上に癒される本人なのであります♪
by roseantique
| 2018-02-04 23:51
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